骨が痩せると老け顔に? 女性ホルモンと骨密度の関係

女性ホルモンの量はライフステージによって変化していきますが、50歳前後で閉経を迎えると、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが急激に減少します。

それに伴い、骨密度も低下することがわかっています。

骨密度が下がると骨粗しょう症の原因になったり、見た目年齢にも影響を及ぼすようになります。

30代、40代から対策をしておくことで、骨の健康とアンチエイジングを目指しましょう。

01 女性ホルモンと骨密度

女性ホルモンと骨密度の変遷

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、ライフステージに伴い大きく増減していきます。
思春期頃になると急激に増加し、20歳代から30歳代でピークを迎え、40歳代に入ると低下していきます。
50歳前後で閉経を迎えると急激に減少し、60歳代以降は卵巣からのエストロゲンの分泌量はほとんどなくなります。
エストロゲンの波に比例するような形で増減していくのが骨密度です。
骨密度は10歳頃から増え始め、20歳代でピークを迎えます。
エストロゲンが低下する40歳代頃から骨密度も低下傾向になり、閉経を迎えると急激に減少します。

骨の新陳代謝

骨は、常に新陳代謝を繰り返しています。
”破骨細胞”という細胞が、古くなった骨を壊すことを“骨吸収”といい、”骨芽細胞”という細胞が、新しく骨をつくることを“骨形成”といいます。
この2つを常に繰り返し、骨は生涯にわたって新陳代謝(骨代謝)をしており、若ければ3年程度、高齢になると5~10年程度ので体中の骨がつくり変えられるといわれています。
この骨代謝に大きな影響を及ぼしているのが女性ホルモンのエストロゲンです。

エストロゲンと骨密度

エストロゲンには骨を壊す破骨細胞と骨をつくる骨芽細胞のバランスを調整する機能があり、破骨細胞による骨吸収を抑制したり、骨芽細胞の生存を促進することで骨密度の低下を抑えています。
20代までにエストロゲンと骨密度は上昇していきますが、これは妊娠・授乳のためにカルシウムを蓄えるためです。
妊娠中には胎児の骨格の成長のために通常時よりも多くのカルシウムを必要とし、授乳期には多量のカルシウムを母乳を介して赤ちゃんに与え成長を促しています。
50代前後になり閉経を迎えると、エストロゲンの量は急激に減少するため、調整機能が働かなくなり、骨吸収が優勢になるため骨粗しょう症の要因の一つになります。

02 骨痩せが及ぼす悪影響

骨粗鬆症

骨密度が若年女性の平均値の7割以下にまで減少すると、骨粗しょう症と診断されます。
骨粗しょう症になると、ちょっとした衝撃で容易に骨折する状態になってしまい、背骨の骨折や大腿骨の骨折を起こすと寝たきりの原因にもなります。
女性は男性に比べ元々骨量が少なく、妊娠・授乳のためカルシウムの消費が多いこと、また閉経によってエストロゲンが急減し骨密度も急激に減少することから、骨粗しょう症に罹りやすいといわれており、骨粗しょう症の患者の約8割は女性といわれています。
骨粗しょう症は閉経する50代前後の更年期以降に起こることが多いですが、30代〜40代の女性でも過度なダイエットを行うことで骨量が減少してしまう事があります。

老け顔の原因に

骨密度が低下すると、健康面だけではなく美容面にも大きく影響を及ぼします。
骨吸収によって骨密度が低下してくると、顔の骨が痩せほそり、見た目に様々な変化をもたらします。
骨が痩せることによって顔の筋肉を支えている靭帯が緩むと、皮膚がたるんでシワができたりハリがなくなります。
また頬の骨が痩せると頬骨が平坦になるためほうれい線が目立ってきたり、顎の骨が痩せると二重顎になりやすくなってしまいます。
他にも眼球の周りの骨が痩せることで目がくぼんだり、大きな見た目の変化につながります。

03 今日からできる対策

骨密度の低下は全身で起こりますが、特に顔の骨は早い段階で痩せてくると言われています。
目のくぼみや法令線が気になるなど、 エイジングサインが気になりだしたら、骨が痩せてきている兆候かも知れません。
顔や体の土台となる骨を保つ事は、 見た目年齢や身体の健康に大きく影響してきます。
骨量の低下を防ぐために、今から始められる対策をご紹介します。

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを摂取する

骨の主成分であるカルシウムを積極的に摂取することで、骨を丈夫にする事ができます。
カルシウムは牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や、小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、海藻などに含まれます。
肉類やインスタント食品にはリンが多く含まれますが、リンを過剰に摂取するとカルシウムの吸収が阻害されてしまうため、注意が必要です。
またカルシウム単体を身体に吸収されやすくしてくれる魚やきのこなど、ビタミンDを含む食材や、骨の形成や強化をしてくれるほうれん草やひじきなどビタミンKを含む食材と一緒に摂取することで効率よくカルシウムを吸収する事ができます。
一方カルシウムの摂りすぎも、鉄などの他のミネラルの吸収を阻害してしまうため、栄養が偏らないようバランスの良い食事をすることが大切です。

日光浴をする

カルシウムの吸収率を上げる働きのある「ビタミンD」は、 日光浴で紫外線に当たることでも体内で合成されます。
日光浴は骨粗しょう症予防の他にも、うつ病や糖尿病、認知症の予防や免疫力の向上など、様々な効果があるといわれています。
紫外線はシミの原因にもなりますが、1日に10分程度でも通勤時間に腕まくりをして日光を浴びる、窓際でカーテンを開けて過ごすなど、適度な日光浴を習慣にすると良いでしょう。

運動や咀嚼で骨を丈夫にする

ウォーキングやランニング、筋トレなどのエクササイズを行うと、骨に微量の電流が流れます。
これにより骨の強さが増し、骨を丈夫に保つ事ができます。
また硬いものをよく噛んで食べることで顔の骨に刺激が伝わり、顔の土台である頭蓋骨を丈夫に保つ事ができます。
からだの健康だけでなく、見た目年齢にも大きく影響する骨密度。
骨痩せによって老化を加速させないためにも、ぜひ早めに対策を始めてみてはいかがでしょうか。
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