冷え性と女性ホルモン・自律神経の関係 冷えない身体をつくろう

身体の冷えが気になる季節になりましたが、冷えは女性の健康に大きく関係しています。
冷え性と女性ホルモン・自律神経の関係や、冷えない身体づくりについてみていきましょう。

01 なぜ女性は冷え性が多いの?

冷え性は女性に多いといわれていますが、その理由は女性の身体の特徴にあります。

筋肉が少ない

女性は男性に比べ筋肉が少ないため、冷え性になりやすいといわれています。
筋肉は、体温を調整する上で重要な役割を果たしています。
筋肉を動かす時にはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーを生み出すときに熱が発生します。
また、筋肉には血液を循環させるポンプ機能があります。
身体の熱は血液が運んでいるため、筋肉が少ないと血流が悪くなり、冷えの原因となります。

脂肪が多い

女性は男性よりも脂肪が多いですが、脂肪は一度冷えると温まりにくい性質があります。
脂肪には血管が少なく、外気温によって冷えてしまうと内側から温めることができません。

月経やホルモンバランス

月経の関係で血液が少なくなると、手足など末端まで血液が行き届かなくなり、熱が届かないため身体が冷えてしまいます。
またホルモンバランスが変化し自律神経が乱れることも冷えに関係しており、更年期になると冷え性になることが多くなるといわれています。
  

02 冷え性になるとどうなる?

身体が冷えると、血液の循環が悪くなり、熱のほかにもホルモンや栄養素が身体の必要な部分に行き届かなくなります。
そのため、冷えは身体のさまざまな部分で不調の原因となってしまいます。

免疫力の低下

免疫とは、私たちの身体に細菌やウイルスなどの異物が入ってきた時に、異物を排除し身体を守る機能で、身体の中に元々備わっている防衛機能です。
異物が入ってきた時に攻撃する役割を持つのが白血球の一種である「リンパ球」ですが、リンパ球は体温が36.5度くらいでいちばん活性化するといわれています。
身体が冷えている状態だとリンパ球の働きが鈍ってしまい、免疫機能が低下してしまいます。
また身体が冷えることで交感神経が過剰になり、白血球のもう一種である「顆粒球」が増加しますが、顆粒球は活性酸素を発生させます。
活性酸素は身体の組織を傷つけてしまうため、さまざまな不調を引き起こしたり、胃炎や白内障、ガンなどにも罹りやすくなってしまいます。

内臓機能の低下

体温が低くなると、体内で酵素を生産できなくなったり、すでにある酵素の働きも鈍くなってしまいます。
酵素には食べ物を吸収しやすいよう消化・分解する役割と、栄養を身体の細胞に届ける代謝の役割があります。
体温が低くなることで酵素が働かなくなると食べ物の消化活動に負担がかかり、代謝が落ちてしまいます。
代謝が落ちると熱も生まれなくなるため体がどんどん冷え、血管内に老廃物が溜まってしまい詰まりがちになるため、さらに血流が悪くなる悪循環に陥ります。

卵巣機能の低下

女性の骨盤の中は子宮や卵巣、膀胱や腸など多くの臓器がぎっしりと詰まっているため、もともと血が滞りやすい場所です。
冷え症になることでさらに血流が悪くなると、子宮や卵巣の細胞に酸素や栄養が行き届かなくなり、老廃物も溜まるため、卵巣嚢腫や子宮内膜症などの病気にかかりやすくなってしまいます。
また子宮の冷えは不妊にも影響しています。
血流が悪いと子宮に十分な血液が送られないため、受精卵が着床するために必要な子宮内膜が厚くなりません。
そのため子宮内が着床しづらい環境となり、不妊の原因になると考えられています。

03 冷え性と女性ホルモン・自律神経

冷え性は、女性ホルモンや自律神経とも相互に関係しています。

そもそも女性ホルモン・自律神経とは

⚫︎女性ホルモンとは
ホルモンとは、身体のさまざまなはたらきを調整する物質のことで、女性ホルモンには妊娠・出産の機能とそのための体づくりをする機能があります。
女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、エストロゲンは妊娠のための準備や女性らしい体づくり、プロゲステロンは妊娠を維持する役割があります。
この2つのホルモンは脳の視床下部から卵巣に指令が入ることで分泌されています。
⚫︎自律神経とは
自律神経とは内臓や代謝、体温といった全身の機能をコントロールする神経のことで、交感神経と副交感神経から成り立っています。
交感神経とは身体の活動性を生み出す神経であり、活動している時、緊張している時、ストレスを感じている時にはたらきます。
副交感神経とは身体を休憩させる神経であり、休憩している時、リラックスしている時、眠っている時にはたらきます。
健康な人はこの二つの神経のバランスが良く、昼間には交感神経がはたらき活動的になり、夜間には副交感神経がはたらき疲労やダメージを回復しています。
自律神経も、女性ホルモンと同じく脳の視床下部がコントロールしています。

冷え性と女性ホルモン・自律神経の関係

ストレスなどの影響により自律神経が乱れると、交感神経がはたらき全身の筋肉が緊張します。
筋肉が緊張すると血流が悪くなるため、身体の冷えに繋がってしまいます。
緊張している時に身体が固まり手足が冷たくなるのはこのためです。
逆に身体が冷えることで、女性ホルモン・自律神経のバランスを乱してしまうこともあります。
身体が冷えて血流が悪くなると、血管を収縮させて熱を逃さないようにしようと交感神経が優位にはたらきます。
その結果自律神経のバランスが崩れてしまい、同じ視床下部が司る女性ホルモンの分泌にも影響してしまうといわれています。
また女性ホルモンのプロゲステロンには、体温を高めるはたらきがあります。
排卵後に卵子と精子を受精させ、その後の妊娠を維持するために、プロゲステロンがはたらき通常より0.5度程体温を高く保ちます。
更年期になるとこのプロゲステロンの分泌が著しく減少するため、冷えを感じやすくなります。

04 冷えない身体をつくるには

女性ホルモンと自律神経を整え健康を維持するためにも、冷えにくい身体づくりを心がけましょう。

筋力をつける

根本から冷えにくい身体を作るため、筋力を強化し血流を促進しましょう。
腹筋やスクワット、お尻など下半身を鍛える簡単なトレーニングを少しずつでも生活に取り入れ、代謝をアップさせ体温を上げていきましょう。

下半身の血流を良くする

長時間椅子に座っていると血流が悪くなり、冷えに繋がってしまいます。
デスクワークで座っていることが多い人は、こまめに立つ時間をつくったり、ウォーキングやジョギングなど、ふくらはぎの血流を良くする運動を取り入れましょう。

朝昼晩、3食しっかり食べる

ついつい抜いてしまいがちな朝食ですが、朝食をしっかりとることで胃腸の筋肉が動き出し、体温の上昇を助けます。
スープや味噌汁などの温かいものを摂ることで、さらに胃腸の運動と発熱を促してくれます。
朝食でエネルギーをとることで、日中の体温維持にも役立ちます。
熱は糖質などのエネルギー源を代謝することにより生み出されるため、無理な食事制限をしているとエネルギーが足りず身体の冷えにつながってしまいます。
3食しっかり食事を摂ることでエネルギーが不足しないよう気をつけましょう。

食材と調理法の工夫

筋肉をつくるために肉や魚といった動物性タンパク質を摂ったり、小麦やそばではなく米や玄米などの身体を温める食べ物を主食とすると良いでしょう。
かぼちゃやネギ、ピーマンやニンニクなどの野菜も身体を温める食材といわれています。
白菜やナス、トマトやほうれん草などは身体を冷やす野菜とされていますが、なるべく温野菜にして食べるなど調理に工夫をすると良いでしょう。

血糖値を上げない食べ方をする

炭水化物や甘い飲み物、お菓子などの糖質は、エネルギー源となる一方で、体内での吸収スピードが早いため、血糖値を急激に上げてしまいます。
炭水化物が多い一品料理や砂糖が大量に入った甘い飲み物などの糖質を習慣的に摂取していると、摂取するたびに血糖値が急激に上がり、それを下げようとインスリンというホルモンが分泌されます。
これを繰り返していると次第に血糖の調節が上手くいかなくなり、血糖値が正常値よりも下がりすぎてしまう「低血糖症」になってしまうことがあります。
低血糖症になると、血糖を下げるとともに体温も下がってしまいます。
さらに、血糖が安定していないと自律神経が乱れ交感神経が優位になり、余計に身体が冷えてしまいます。
これを防ぐためにも血糖値を急激に上げないよう、食事の仕方を工夫しましょう。
普段の食事や生活を少し気をつけるだけで、万病の元である冷えを取り除くことができます。
ホルモンバランスを整え美しく年を重ねるためにも、冷えない体づくりをしていきましょう。
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