生理前の不調、実はPMSではないかも? 月経前増悪(PME)とは

生理前になると、イライラする。気分が落ち込む。頭痛がひどくなる。身体がだるくなり、仕事や家事に集中できない。
このような不調があると、多くの人が「PMSかもしれない」と考えるのではないでしょうか。
しかし、生理前に症状が悪化するからといって、そのすべてがPMSとは限りません。
普段からある心身の不調や病気が、生理前にさらに強くなる「月経前増悪」の可能性もあります。
PMSと月経前増悪はよく似ていますが、症状が現れる時期や、生理後の状態に違いがあります。
この記事では、PMSと月経前増悪の違い、見分けるポイント、症状の記録方法、受診の目安について解説します。
目次
1. 生理前の不調はすべてPMS?
PMSとは「月経前症候群」のことです。
一般的には、排卵後から月経が始まるまでの時期に、心や身体の不調が現れ、月経が始まると軽くなったり消えたりする状態を指します。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
・イライラする
・気分が落ち込む
・不安になる
・集中できない
・眠い、または眠れない
・食欲が増える
・頭痛がする
・胸が張る
・むくむ
・身体がだるい
・気分が落ち込む
・不安になる
・集中できない
・眠い、または眠れない
・食欲が増える
・頭痛がする
・胸が張る
・むくむ
・身体がだるい
PMSを考えるうえで大切なのは、症状の種類だけではありません。
「いつ症状が始まり、いつ軽くなるか」という、月経周期との関係が重要です。
PMSでは、月経前に症状が現れ、月経が始まると数日以内に軽くなります。その後、症状をほとんど感じない時期があることが特徴です。
一方で、生理が終わったあとも同じ症状が続いている場合は、典型的なPMSとは異なる可能性があります。
2. 月経前増悪(PME)とは?
月経前増悪は、英語で「Premenstrual Exacerbation」といい、PMEと略されます。
生理前だけに新しい症状が現れるのではなく、もともとある心身の不調や病気が、生理前にさらに悪化する状態です。
例えば、普段から軽い頭痛がある人が、生理前になると寝込むほど痛くなるケースがあります。
普段から不安や気分の落ち込みがある人が、生理前になるとさらに感情をコントロールしづらくなることもあります。
分かりやすく表すと、次のような違いがあります。
・PMS:生理前になると症状が現れ、生理後にはほぼなくなる
・月経前増悪:普段からある症状が、生理前にさらに強くなる
・月経前増悪:普段からある症状が、生理前にさらに強くなる
生理が終わると少し楽になっても、症状が完全にはなくならない場合は、月経前増悪の可能性があります。
3. PMSと月経前増悪の見分け方
PMSと月経前増悪の大きな違いは、生理前以外の時期にも症状があるかどうかです。
PMSが考えられるパターン
・生理前になると症状が始まる
・生理が始まると軽くなる
・生理後には症状がほぼなくなる
・比較的元気に過ごせる期間がある
・生理が始まると軽くなる
・生理後には症状がほぼなくなる
・比較的元気に過ごせる期間がある
例えば、生理の1週間ほど前からイライラや眠気が現れ、生理が始まって数日すると普段の状態に戻る場合です。
PME(月経前増悪)が考えられるパターン
・生理前以外にも症状がある
・普段からある不調が生理前に強くなる
・生理後も症状が完全にはなくならない
・1か月のうち、調子のよい日がほとんどない
・普段からある不調が生理前に強くなる
・生理後も症状が完全にはなくならない
・1か月のうち、調子のよい日がほとんどない
例えば、普段から気分の落ち込みがあり、生理前になると起き上がれないほどつらくなる場合です。
ただし、症状だけで両者をはっきり区別するのは難しいことがあります。
PMSやPMDDと、別の病気による月経前増悪が同時に起きている場合もあります。

4. 生理前に悪化することがある症状
月経前増悪は、気分の問題だけではありません。
さまざまな心身の不調が、月経周期の影響を受けることがあります。
うつや不安などの精神症状
普段からうつ症状や不安がある人は、生理前になると気分の落ち込み、焦り、イライラ、疲労感などが強くなることがあります。
生理が始まると少し楽になるため、PMSだと思っていても、背景にうつ病や不安症がある可能性もあります。
生理後も落ち込みが続く、以前楽しめていたことを楽しめない、眠れない状態が続く場合は、専門家へ相談しましょう。
片頭痛や頭痛
普段から片頭痛がある人では、生理前から生理中にかけて痛みが強くなったり、長引いたりすることがあります。
光や音がつらい、吐き気を伴う、仕事や家事ができないほど痛む場合は、頭痛外来や脳神経内科などへの相談を検討しましょう。
肌荒れや皮膚症状
生理前になると、ニキビ、湿疹、かゆみなどが悪化する人もいます。
ホルモン変動だけでなく、睡眠不足、ストレス、食生活なども関係する可能性があります。
生理後も症状が続く場合は、PMSだけではなく、皮膚疾患としての治療が必要なこともあります。
腸の不調
便秘、下痢、腹痛、お腹の張りなども、生理前や生理中に変化しやすい症状です。
もともと過敏性腸症候群などがある場合、生理前に症状が強くなることがあります。
普段からお腹の不調があり、生理前にさらに悪化する場合は、消化器系の病気が隠れていないか確認することも大切です。
持病の症状
喘息やアレルギーなど、月経とは直接関係がないように思える病気も、生理前に悪化することがあります。
毎月決まった時期に症状が強くなる場合は、月経開始日と一緒に記録しておくと、診察の手がかりになります。
5. PMS・PMDD・月経前増悪の違い
生理前の不調を考えるときは、PMDDとの違いも知っておきましょう。
PMDDは「月経前不快気分障害」と呼ばれ、強いイライラや気分の落ち込み、不安、感情の不安定さなどが現れ、仕事や学校、人間関係に大きな支障をきたす状態です。
PMSやPMDDでは、月経後に症状が軽くなり、症状がほとんどない時期があります。
一方、月経前増悪では、もともとある精神的・身体的な不調が生理前に強くなります。
見分けるためには、生理前のつらさだけでなく、生理後にどこまで回復するかを見ることが重要です。
6. 「生理前だから仕方ない」と思わないで
月経前増悪という言葉を知らないと、普段からある不調まで、すべて生理のせいにしてしまうことがあります。
「生理前は誰でもつらいから」
「ホルモンバランスが乱れているだけだから」
「生理が終われば少し楽になるから」
そう考えて我慢しているうちに、うつ病、不安症、片頭痛、皮膚疾患、過敏性腸症候群など、本来治療できる症状が見過ごされる可能性があります。
月経周期によって症状が変化することと、症状の原因がすべて月経にあることは同じではありません。
生理前に悪化するという事実は、原因を考えるための大切な手がかりです。
7. 自分の状態を知るには記録が大切
PMSと月経前増悪を見分けるために役立つのが、毎日の症状の記録です。
記憶だけでは、特につらかった日の印象が強く残り、「生理前だけ調子が悪い」と感じることがあります。
実際に記録してみると、生理後にも症状が続いていたり、排卵前から不調が始まっていたりすることがあります。
記録しておきたい項目
・月経が始まった日
・気分の落ち込み
・イライラや不安
・疲労感
・眠気や不眠
・頭痛や腹痛
・食欲の変化
・肌荒れ
・仕事や家事への影響
・服用した薬
・気分の落ち込み
・イライラや不安
・疲労感
・眠気や不眠
・頭痛や腹痛
・食欲の変化
・肌荒れ
・仕事や家事への影響
・服用した薬
症状の強さを「0=なし、1=軽い、2=やや強い、3=とても強い」など、数字で記録すると分かりやすくなります。
記録するときのポイント
重要なのは、生理前だけではなく、1か月を通して記録することです。
スマートフォンのメモ、月経管理アプリ、カレンダーなど、続けやすい方法を選びましょう。
2〜3か月続けると、自分では気づかなかった症状のパターンが見えてくることがあります。
8. 月経前増悪が疑われるときの対処法
月経前増悪が疑われる場合は、生理前の症状だけでなく、背景にある不調や病気への対応が大切です。
例えば、片頭痛が生理前に悪化する場合は、片頭痛そのものへの治療を検討します。
うつや不安が普段からある場合は、婦人科だけでなく、心療内科や精神科などへ相談することもあります。
症状に応じた相談先の目安は次のとおりです。
・月経周期との関係が分からない:婦人科
・気分の落ち込みや不安が強い:心療内科、精神科
・頭痛が強い:頭痛外来、脳神経内科
・腹痛や便通異常が続く:消化器内科
・肌荒れやかゆみが強い:皮膚科
・気分の落ち込みや不安が強い:心療内科、精神科
・頭痛が強い:頭痛外来、脳神経内科
・腹痛や便通異常が続く:消化器内科
・肌荒れやかゆみが強い:皮膚科
相談先に迷う場合は、まず婦人科やかかりつけ医に相談してもよいでしょう。
症状の記録を持参し、「生理前に悪化するが、生理後も症状が残る」と伝えると診察に役立ちます。
9. 日常生活で意識したいこと
睡眠時間を確保する
睡眠不足は、イライラ、気分の落ち込み、頭痛、食欲の変化などに影響します。
就寝時間を完璧にそろえることが難しくても、起床時間を大きくずらさない、寝る前のスマートフォンを控えるなど、できることから始めましょう。
不調が出やすい時期に余白をつくる
症状のパターンが分かってきたら、不調が強くなる時期には、重要な予定や負担の大きい作業を詰め込みすぎないことも大切です。
無理のない範囲で身体を動かす
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動は心身のリフレッシュにつながります。
強い痛みや疲労があるときは、無理をせず休みましょう。
自分を責めない
生理前に感情をコントロールできないと、「性格が悪い」「我慢が足りない」と自分を責めてしまう人もいます。
しかし、心身の不調には、月経周期、睡眠、ストレス、体質、病気など、さまざまな要因が関係します。
原因を知ることは、自分に必要なケアや治療を見つけるための第一歩です。
10. 医療機関へ相談したほうがよい目安
次のような状態がある場合は、我慢せず医療機関へ相談しましょう。
・生理前の不調で仕事や学校を休む
・家事や育児ができなくなる
・人間関係に影響が出ている
・生理後も落ち込みや不安が続く
・月の大半を調子が悪い状態で過ごしている
・頭痛や腹痛が強く、市販薬で改善しない
・持病が生理前に悪化する
・症状が年々強くなっている
・自分を傷つけたい、消えてしまいたいと感じる
・家事や育児ができなくなる
・人間関係に影響が出ている
・生理後も落ち込みや不安が続く
・月の大半を調子が悪い状態で過ごしている
・頭痛や腹痛が強く、市販薬で改善しない
・持病が生理前に悪化する
・症状が年々強くなっている
・自分を傷つけたい、消えてしまいたいと感じる
自分を傷つけたい気持ちや、死にたい気持ちがある場合は、次の受診日を待たず、周囲の人や医療機関、地域の相談窓口へすぐに助けを求めてください。
11. 自分の周期を知ることもフェムケア
生理前に不調があると、すべてを「PMS」という一つの言葉でまとめてしまいがちです。
しかし、生理前だけに現れるPMSと、普段からある症状が悪化する月経前増悪では、必要な対応が異なることがあります。
見分けるポイントは、生理前のつらさだけではありません。
・生理が終わったあとに、どのくらい症状が軽くなるか
・症状がほとんどない期間があるか
・1か月のうち、調子よく過ごせる日がどのくらいあるか
・症状がほとんどない期間があるか
・1か月のうち、調子よく過ごせる日がどのくらいあるか
こうした変化に目を向けることが大切です。
毎日の症状を記録し、自分の身体のリズムを知ることも、フェムケアの一つです。
「生理前だから仕方がない」と我慢せず、身体からのサインを知り、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
参考文献
※1
日本女性心身医学会「月経前症候群(PMS)」
PMSの定義、主な症状、診断のための症状記録、セルフケアや治療について。
日本女性心身医学会「月経前症候群(PMS)」
PMSの定義、主な症状、診断のための症状記録、セルフケアや治療について。
※2
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Management of Premenstrual Disorders」2023
PMS・PMDDを含む月経前障害の評価、診断、治療に関する診療ガイドライン。
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Management of Premenstrual Disorders」2023
PMS・PMDDを含む月経前障害の評価、診断、治療に関する診療ガイドライン。
※3
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Premenstrual Syndrome(PMS)」
PMSの症状、診断、治療、日常生活での対処について。
American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)「Premenstrual Syndrome(PMS)」
PMSの症状、診断、治療、日常生活での対処について。
※4
Royal College of Obstetricians and Gynaecologists(RCOG)「Managing Premenstrual Syndrome(PMS)」
PMSの特徴、症状の記録、生活習慣の見直し、治療方法について。
Royal College of Obstetricians and Gynaecologists(RCOG)「Managing Premenstrual Syndrome(PMS)」
PMSの特徴、症状の記録、生活習慣の見直し、治療方法について。
※5
Kuehner C, Nayman S.「Premenstrual Exacerbations of Mood Disorders: Findings and Knowledge Gaps.」Current Psychiatry Reports. 2021.
Lin PC, et al.「Understanding Premenstrual Exacerbation: Navigating the Intersection of the Menstrual Cycle and Psychiatric Illnesses.」Frontiers in Psychiatry. 2024.
うつ病などの気分障害が月経前に悪化する月経前増悪と、PMDDとの違いについて論じたレビュー論文。
Kuehner C, Nayman S.「Premenstrual Exacerbations of Mood Disorders: Findings and Knowledge Gaps.」Current Psychiatry Reports. 2021.
Lin PC, et al.「Understanding Premenstrual Exacerbation: Navigating the Intersection of the Menstrual Cycle and Psychiatric Illnesses.」Frontiers in Psychiatry. 2024.
うつ病などの気分障害が月経前に悪化する月経前増悪と、PMDDとの違いについて論じたレビュー論文。
※6
MSDマニュアル プロフェッショナル版「月経前症候群(PMS)」
PMS・PMDDの症状や診断、既存の片頭痛、気分症、皮膚疾患、呼吸器疾患などが月経前に悪化する可能性について。
MSDマニュアル プロフェッショナル版「月経前症候群(PMS)」
PMS・PMDDの症状や診断、既存の片頭痛、気分症、皮膚疾患、呼吸器疾患などが月経前に悪化する可能性について。
※本記事は、上記の情報を参考に一般向けに作成したものです。症状や治療方法には個人差があります。気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
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