閉経後の女性の40%がなる、「萎縮性膣炎」とは

「萎縮性腟炎」をご存知でしょうか? なんと、閉経後の女性の実に40%以上が萎縮性膣炎にかかっているという報告があります。
最近は20代、30代でも発症する人も増えており、若い女性が萎縮性腟炎にかかると、性生活への悪影響に加えて様々な感染症のリスクも高まるので特に注意が必要です。

01 萎縮性膣炎とは

萎縮性膣炎は、別名老人性膣炎ともいいます。
主に閉経前後にエストロゲンという女性ホルモンの低下により、膣の壁が乾いてただれる疾患です。
萎縮性腟炎の主な症状として、黄色の不快なおりものが出たり、性交時に痛みを感じるといった症状があります。
※最後にご自身で簡単にできるチェックリストをのせてますので、是非チェックしてみてください。

生理が来ているうちは、膣内を正常に保ってくれる常在菌がおり、病原菌の増殖を防ぐ役割を果たしていますが、若い女性でも病気で卵巣を摘出した場合や、長期間の授乳によって生理がストップしている場合などでは、エストロゲンの分泌量が低下して萎縮性膣炎を発症することがあります。

上記以外でも、加齢に伴い膣の粘膜が薄くなることで、膣含め、デリケートゾーン周囲が乾燥して傷つきやすい状態となります。
それによって、萎縮性膣炎は、産後の生理が再開していない状態でも発症することがあります。
  

02 萎縮性膣炎の原因

主に閉経後、エストロゲンの分泌が低下することにより、腟の粘膜が薄くなり乾燥し、細菌が繁殖しやすくなることで膣炎を誘発します。

エストロゲンは、卵子の成熟や子宮内膜の増殖を促す作用があり、妊娠するために欠かせない女性ホルモンの一種です。
また、エストロゲンは膣内の粘液産生を促し、粘膜に潤いを与え、細菌の侵入から膣や子宮、卵巣などを守る自浄作用を担っています。

女性は40代後半になると、閉経に向けてエストロゲンの分泌量は徐々に減少していき、それに伴い萎縮性膣炎を発症する方が徐々に増えていきます。
閉経後は、エストロゲンの減少は加速し、年を重ねるごとにどんどん減っていきます。
このため、萎縮性膣炎は閉経から数年後以降の方に発症するケースが多くみられます。

自浄作用が弱まる前から膣ケアを始めることで、膣内で細菌が増殖するのを防ぐ環境を保つことができ、萎縮性膣炎の早期予防につながります。

03 萎縮性膣炎になってしまったら

萎縮性膣炎が疑われる場合は、すぐに婦人科に受診しましょう。

まず内診にて腟粘膜の萎縮、点状出血の確認をします。
萎縮性膣炎の特徴として、特に点状出血があげられます。

あわせて、がん細胞の有無を検査にて確認します。
検査の結果がんの心配がなく、萎縮性腟炎の所見であれば、女性ホルモン補充療法(HRT)、または女性ホルモン(エストロゲン)の局所投与にて治療を始めます。
※女性ホルモン補充療法のリスクをなるべく避けたい場合は、局所投与を選択します。

女性ホルモン(エストロゲン)局所投与の選択肢として、以下があげられます。

腟坐薬(エストリオール製剤)

一般的な選択肢です。
おおよそ数日~2週間程度で軽快しますが、重症な場合だと1ヶ月程度かかることもあります。
重症とは、例えば外陰部が癒着すること等を指しており、その場合は挿入が困難となり、人により挿入にともなう痛み・違和感があります。

使用方法としては、症状がある時に1日1回自分で腟内に挿入します。
腟内の奥まで挿入する必要はなく、おおよそ人差し指の第2関節まで入れば十分です。
寝ている間に腟内で溶けるよう、寝る前に挿入します。
1回の治療では10-14日間程度を1クールとして効果を確認します。

エストロゲン製剤(腟錠・クリーム剤・軟膏剤)

腟内が乾燥している場合は、潤いが足りないことで腟錠が融けずに腟から出てしまうことがあるので、エストロゲンを配合したクリーム剤や軟膏剤の塗り薬を使用する場合があります。

対症的なかゆみ止め・殺菌剤の塗り薬:市販薬

即効性があり、かゆみを抑える効果があります。
ただし短時間の効果で、かゆみがぶりかえす場合があります。
皮膚や粘膜の萎縮、腟潤滑そのものは改善できません。

また、上記と1~3に関して必要に応じて抗生物質の腟錠を併用することもあります。
個人差がありますので、主治医と相談しご自身にあった治療法を選択してください。

かかってしまったら治療するしかありませんが、 若いうちから膣をケアすることで、萎縮性膣炎の予防につなげられます。
今日が人生で一番若い日。ぜひこの機に膣ケアを始めてみてはいかがでしょうか。

最後に、以下で簡単にチェックができますので、 ぜひセルフチェックしてみてください。
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